2022.06.15
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住まいの「作り手」に関する問題とは。住宅メーカーの施工体制を確認すべき理由

少子高齢化の日本。そのおかげで、様々な問題が発生していますが、労働者確保の問題も同様です。そして、それは住まいづくりの現場においても同様です。この記事では、その状況がどのようになっているのかご紹介するとともに、これから住宅取得を目指す皆さんがどんな点に着目すればいいのかについて解説します。

 

住宅業界は依然としてマンパワー中心の世界

建築物はそれが完成するまでに多くの人たち、多くの職種の人たちが関わるのが特徴です。重機の使用をはじめとして、以前に比べれば非常に省人化できる部分も増えましたが、それでも建設業界はマンパワー任せの側面が依然として強いと言えます。それは住宅業界も同様です。
 

基礎からはじまり、建て方(構造体の工事)、配管、外装、内装、電気、植栽など様々な業種の人たちが工事に関わります。施工現場は、いわゆる「大工さん」「職人」だけで成り立っているわけではないのです。
 

建て方を行う施工関係者のイメージ


工法・構造にもよりますが、例えば軽量鉄骨住宅の場合には、戸建て住宅1棟に使われる部材・部品数は一棟あたり1万点に及ぶと言われています。設備や家電を含めるとさらに点数が膨らみます。

多くの人たちが多くの部材・部品を取り扱うわけですから、当然ながら施工にあたってはミスが発生することもあります。ハウスメーカーをはじめとする住宅事業者はミスを発生させないよう様々な努力をしています。
 

例えば、工場で部材を生産する「プレハブ(工業化という意味)」という住宅供給の仕組みは、合理化だけでなく施工品質の向上をも狙ったものです。しかし、それでもやはり施工ミスは生じてしまいます。
 

内装工事をしている施工関係者のイメージ


ほとんどの住宅事業者は皆さんとの商談の中で、「当社の住まいは高品質・高性能です」とアピールするはずですが、それはあくまで机上の話。適正な設計とそれを実現できる施工が行われなければ高性能・高品質を実現することはできないのです。
 

こうしたことから、住宅産業は「クレーム産業」などと評されることもあります。ですので、住宅の引き渡しから約1年間程度は顧客の故意による不具合でなければ無償で手直し工事が行われるなどということがよく見られます。
 

右肩下がりで減少している住宅施工者

さて、住宅建設に関わる就業者数は、ここ10年、20年間にわたって右肩下がりで減少している状況です。その理由は就業者が高齢化し引退していること、さらに若い就業者の参入が少ないことがあります。
 

施工関係者は高齢者の割合がアップし、逆に若年者はダウンしている


このことから言えるのは、住宅の施工品質現場が今、ピンチと言っても良い状況を迎えているということです。というのも、就業者数全体が減っているということは、高い技術を有する優秀な就業者の数も同時に減っているからです。
 

少ない人数で現場を回そうとすると、施工関係者1人ひとりの負担が大きくなり、それは施工ミスや確認ミスなどが起こる要因になりかねません。要は不具合や欠陥が頻発する可能性が高まるわけです。

そして、この傾向は将来的にはさらに状況が厳しくなると考えられます。では、このような状況に対処するためハウスメーカーなどの住宅事業者はどのような取り組みを行っているのでしょうか。大きく以下のようなものがあります。
 

  • より長期間作業できる環境づくり
  • 作業ロボットの導入
  • 外国人施工関係者の導入
  • 若い人たちの参入を促す

「より長く作業できる環境づくり」とは、例えば重たい部品などを運ぶ際や無理な体勢での作業を行う時にアシストスーツなどにより体の負担を減らせるようにすることです。これがあれば比較的高齢な作業者、非力な女性でも施工ができるようになります。
 

アシストスーツのイメージ


作業ロボットについては近年、通信技術などの進展でいくつか事例が見られるようになってきました。ただ、現状は試行段階であり、本格的な導入にはまだ少し時間がかかりそうな状況です。
 

天井の石膏ボードを設置するために開発された作業ロボットの様子


外国人の施工関係者はすでに一部で目にするようになってきました。とは言え、専門的な施工の教育を受けていないケースもあったり、給与の問題など一部では問題も発生しています。要は、作業ミスにつながるトラブルの発生が懸念されるわけです。
 

信頼度が高い事業者は施工体制の維持に配慮している

ところで、「若い人たちの参入」ですが、これも容易ではありません。現在、彼らは他の業界も含め引く手あまた。「3K職種」の代表格とも言える建設業界、住宅業界に足を踏み入れることが少なくなっています。

その理由は職場環境のほか、「作業は見て覚えろ!」といった技術継承の仕方、所得が安定しないなどという問題があるからです。環境が整っていない職場に人が集まらないことは皆さんにも理解していただけるはずです。
 

というわけで、住宅事業者の中には自ら若い施工者を採用、教育している企業もあります。そして、しっかりとした施工体制を整えていることに加え、このような取り組みをしている企業の多くが施行品質を含め一定以上の信頼がある企業といえます。
 

住宅事業者の施設で技術習得に励む若者の様子


ですので、これから住宅取得をしようとされる方は、依頼先の候補と目星を付けた住宅事業者の施工現場に必ず足を運ぶことをお勧めします。雰囲気だけで十分。難しいことを確認する必要はありません。
 

若い施工関係者がいる、外国人も生き生きして働いている、あるいは比較的高齢の作業者でも安全に配慮されながら働いている、などといったことが分かれば良いわけです。少なくともそれだけで、皆さんが取得する住宅が欠陥住宅になる可能性を減らせるはずです。
 

ちなみに現在は、施工関係者だけでなく設計や施工管理を行う人材も不足気味です。住宅業界はこうした職種でもマンパワー頼り。商談を行う上で、これらの関係者がどのような勤務状況なのかを確認することも必要かもしれません。
 

特に設計ミスは施工不良に直結します。「良きに計らえ」ではなく、自分たちで確認できることはするといった自助努力を行うことが、マンパワー頼りの住まいづくりの中で重要になるのです。

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