2022.06.13
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住宅取得でも避けては通れないSDGs「持続可能性」の追求

最近、「持続可能性」という言葉をよく耳にします。そして、それは住まいの分野でも同様で、これは今後、皆さんが住宅を取得するにあたっても避けては通れないキーワードとなりつつあります。この記事ではその理由についてまとめてみました。

 

「SDGs」が世界的な潮流に

皆さんは「SDGs」という言葉をご存じでしょうか。これは、「Sustainable Development Goals」の略で、2015年開催の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、2030年までに「持続可能でよりよい世界」を目指す国際目標です。

 

「SDGs」のイメージ


全会一致ですから、当然、日本も採択に加わっており、国や自治体のみならず、企業の一部でもこの目標に向かって動いています。もっとも、欧米などに比べて日本の国民レベルではまだまだ認知度は高くはありませんから、正確には「動き始めている」といった方が良いかもしれません。

 

さて、目標の中身ですが、17のゴール・169のターゲットから構成され、ゴールの中には飢餓や不平等、性差別、戦争などといった問題の項目があり、それらの解消を打ち出し、さらに「地球上の誰一人取り残さない」としています。

 

要は、これらによって人類の暮らしの持続可能性(Sustainablity)を確保しようというわけです。このことは住まいの分野でもとても重要になりつつありますし、今後はさらに重要度が高まることは間違いないです。

 

17のゴールの中で住まいと強い関連があるのが、気候変動やエネルギーの問題です。地球温暖化が既に重大な問題となっており、国際的に様々な取り組みが行われようとしているのはニュースなどでご存じだと思います。

 

太陽光発電の設置が義務化に!?

日本でもそうした状況を受け、新築戸建て住宅に「太陽光発電の設置を義務化しよう」などという動きが本格化し始めています。このほか、賃貸住宅など共同住宅の省エネ性能の強化の動きも同様です。

 

太陽光発電を搭載した住宅のイメージ。搭載を義務化しようという議論が真剣に行われている


既に、新築戸建て住宅では、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)をはじめとした省エネ住宅に対しては、住宅ローン金利や税金の側面などにおける手厚い優遇制度が設けられています。

 

【関連記事】

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逆に言えば、そうではない省エネ性能が低い住宅については、優遇制度はほぼなくなっているとも言えます。それくらい、地球温暖化、そして省エネの問題は住まいの分野では欠かすことのできないトレンドになっているのです。

 

このほか、SDGsでは「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」という目標もあります。これは子どもや高齢者、障害をお持ちの方にとっての安心・安全な暮らしに配慮するユニバーサルデザインが採り入れられた住まいに関連があります。

 

「包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」という目標もあります。これは、近年話題となっている空き家問題などに関連があると言えそうです。

 

新築住宅についても、耐震性などをはじめとした災害対策、さらに「スクラップ&ビルド(建てては壊しまた建てること)」にならない住まい、具体的には「長期優良住宅」との関連性が指摘できます。

 

解体現場の様子。少なくとも30年はスクラップ&ビルドが行われない住宅が今求められている

 

ESGという指標が変える住宅供給

ところで、SDGsのほかに、もう1つ社会で新たな価値観となりつつあるのが「ESG」です。これは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉で、主に企業の経営指標として重視されるようになっています。

 

経営指標というのは、ESGに反すること、例えば環境悪化につながる製品を生産、社会に悪影響を与える行為、それらにつながる経営を行っている企業は、社会的に評価されづらくなるということです。

 

事例をあげると、銀行など金融機関から企業への資金調達があります。金融機関は製造業とは異なり、業務上で地球温暖化ガスを排出することがありませんから、環境保全に貢献する製品やサービスを提供する企業に融資することで、ESG経営を行おうとするわけです。

 

要するに、企業はESGに反する商行為をしていると資金繰りが難しくなり、経営に悪影響が生じるということです。少なくとも欧米では既にそうした状況になっていますし、日本でも次第に広がり始めています。

 

自動車メーカーではより環境に優しいとされる電気自動車や水素自動車の開発や普及に努めようとしていることをご存じだと思われますが、それにはSDGsはもちろんのことESGという経営指標が強い影響を与えています。

 

電気自動車の普及に合わせ充電ポイントも増えてきた。写真は充電ポイントを設けた分譲住宅地の様子


そして、この流れは住宅事業者にとっても同様です。環境保全への配慮が少ない住宅を供給している事業者は今後、ESGに積極的ではないと社会的に判断され経営が難しい状況になることが予想されます。

 

「パラダイムシフトの時代」という認識が必要

このことは住宅事業者の問題であり、皆さんには関係ないと思われるかもしれませんが、仮に皆さんが持続可能性が少ない住宅を取得しようとしても、その選択肢に見合うものがそもそもなくなってしまうという状況が、近い将来に訪れる可能性があるわけです。

 

住まいの省エネ化などを強化しようとすると、イニシャルコストが大きくなりますから、現状では皆さんの中には省エネの必要性を感じていながらも、積極的にはなれない方もいらっしゃるように思われます。

 

地球のイメージ。環境の保全のため、できうる選択をすることが今後強く求められそうだ


残念ながら、未だにイニシャルコストを優先し、省エネをはじめとする持続可能性への配慮が少ない住宅をつくるパワービルダー(建売住宅を中心に供給する住宅事業者)が存在するのも事実で、そうした住宅に興味を引かれている方も多いようです。

 

しかし、時代は今、パラダイムシフト(革命的な価値観の変化)が急速に進んでおり、この潮流が変わることはないと思われます。できるだけ、持続可能性への配慮がなされた住宅を取得していた方が、長い目で見ると皆さんにとって有利に働く状況になっていると考えられます。

 

少なくとも、家族がより良い住宅で暮らすことを望まれるのであれば、SDGsなど今の世の中の動きを十分に理解されながら、住宅取得を検討されるべきだと考えます。

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