2022.06.13
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住戸、街、都市に広がる住まいの「スマート」〜スマートハウス・スマートタウン・スマートシティ〜

最近、住宅に関連する「スマート」という言葉をよく耳にするようになりました。代表的なものが、「スマートハウス」「スマートタウン」「スマートシティ」です。この記事ではこれらについて紹介するとともに、その背景についても解説します。

 

省エネから始まった「賢さ」の追求

スマートフォンを代表例に、世の中には「スマート」という言葉を付けたモノやサービスが増えています。それは住まいに関する報道や情報でも同様です。例えば、「スマートハウス(住戸)」、「スマートタウン(街)」、「スマートシティ(都市)」などが代表的なものです。

ここで言うスマートとは「賢い」という意味。住まいの世界では、2011年の東日本大震災以降、スマートハウスの登場から広く使われるようになりましたが、大震災では災害における被害の大きさはもちろん、エネルギー問題にも注目が集まりました。

 

震災後、東日本エリアではガソリンの調達が難しくなったり、計画停電によって不自由な生活を余儀なくされたりしたことは記憶に新しいと思われます。ですので、スマートハウスは当初、省エネ住宅という位置づけがメインでした。

 

東日本大震災直後の街の様子。計画停電により信号も電源がストップしていた

 

具体的には、創エネ設備である太陽光発電と、住まいのエネルギーの需給状況を「見える化」するHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を搭載したものというイメージでスタート。その後、家庭用蓄電池などの新たな設備の搭載も進み始めています。

 

住宅内のエネルギーの様子を「見える化」するHEMSの画面

 

しかし、近年は省エネだけでなく、様々な「賢さ」が付加されています。スマートフォンなどを通じ、住まいの外からエアコンなど家電・設備を操作できる、玄関ドアや窓の閉め忘れをチェックできる、といった利便性、防犯性などの機能です。

ですので、単なる省エネ住宅ではないということを示し、違いを明確化するために、利便性や防犯性の機能を付加したスマートハウスを「スマートホーム」と呼称することもあります。

 

いずれにせよ、スマートハウス、スマートホームという呼称には特に定義があるわけではありません。ですので、単に太陽光発電だけを設置した住宅をそう呼ぶケースもないわけではありませんから注意したいものです。

 

社会課題の解決に貢献

次にスマートタウンについてですが、これはスマートハウスの集まりと考えれば良いでしょう。ただし、全住戸のエネルギー需給の状況を把握できるシステムを備えるなどの、より高度な取り組みをしている事例もあります。

 

我が国を代表するスマートタウン「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」には、街のエネルギーの需給状況を管理する施設もある

 

また、スマートハウスは災害によって発生する停電に対し、太陽光発電や蓄電池から電力を得ることができるため一定の災害への対応力があるわけですが、それを複数住戸で実現しているスマートタウンは地域の防災拠点にもなり得る点でも注目されます。

 

さらにスマートシティは、情報通信技術・ネットワークの進展を受け、省エネ、防災、利便性の追求はもちろん、人々の健康の維持・向上、地域の産業振興などといった、より幅広い機能を追求するものです。例えば、利便性については自動運転やドローンといった新たな技術の検証が今、行われています。省エネについては、再生可能エネルギーを各地域で地産地消できるような仕組みも一部で試行され始めています。

 

現在、スマートシティの実現に向け、全国各地で自動運転の実証実験が行われている

 

つまり、賢さの追求をより広範囲なエリアに広げることで、超高齢化時代を迎えた日本の社会課題の解決に役立てようとするのがスマートシティなのです。これが実現すれば、医療や介護などの社会保障コストの削減も可能になるかもしれません。

 

ちなみに、スマートシティというと大きな街のことをイメージしがちですが、例えば過疎化・高齢化した、限定された地域などにもその要素が採り入れられています。自動運転が可能になれば、クルマを運転できないお年寄りの生活の利便性が高まるなどというイメージです。

 

災害時に住民同士で助け合えるように公園に竈ベンチを設けるなどという取り組みも行われている

持続可能な世界を目指す「SDGs」とも関連

 

ところで、住まいや暮らしのスマートの追求は、SDGsの動きとも連動しています。SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、持続可能な世界を実現するために国連で定められた世界共通の目標です。

 

例えば、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの省エネ住宅を建築するのは、気候変動対策や再生可能エネルギーの普及に寄与します。スマートシティのような街づくりが進めば、持続可能な都市が実現できます。

 

このSDGsは今、重要な経営の指標になっており、国や自治体、企業はその取り組みの成果が問われています。最近、「住宅に太陽光発電を義務化」などというニュースをよく目にしますが、それはSDGsが関係しているのです。

こうした動きは、日本の住まいづくりにも同様に波及しており、住宅事業者各社が取り組みを行っています。ですので、スマートハウスやスマートタウンなどの取り組みを含め、皆さんにはぜひ、SDGsに注目していいただきたいと考えます。

 

今回の記事で、住まいや住まいづくり、そこでの暮らしは世界や日本の社会課題と決して無縁ではないということ、そのことを強く意識しなければならない時代になっていることがお分かりいただければ幸いです。

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