2021.12.01
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ウッドショックとは? その原因と影響について知っておこう

注文住宅
ノウハウ

「ウッドショック」という言葉をご存じでしょうか。住まいづくりに大きな影響を与える問題として最近話題になっています。この記事では、そもそも何が原因なのか、影響とは具体的には何を指すのかなど整理してみました。

 

日本の住まいには輸入材が多く使われている

ウッドショックについて説明する前に、まず大前提として知っておいていただきたいことがあります。それは、日本で建てられている住宅、中でも「木の家」の多くが、北米や欧州を中心とする海外からの輸入材によるということ。また、木の家だけでなく、鉄骨やコンクリートの住宅でも、内装材や下地材、建具などに多くの木材を使っていることです。

輸入材のイメージ

そして何より、皆さんの住まいづくりが世界で発生している様々な問題や、環境・エネルギー問題をはじめとする情勢の変化と決して無縁ではないということです。つまり、これからの住宅取得は、日本の状況だけを見ていては理解しがたいということです。

さて、ウッドショックは、住宅の構造躯体などに使われる木材が短期間で非常に高騰している状況を指します。その影響としては、住宅事業者にとっては入手が困難になること、その結果、消費者にとっては住宅取得費用がより高額になり、着工や引き渡しの時期が遅れる可能性が高まることなどがあります。

今回のウッドショックの引き金になったのは、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う混乱(コロナ禍)で、人々がニューノーマル(新しい生活様式)、在宅ワークなどに代表される巣ごもり生活を余儀なくされたことです。

それは日本でも新たな住宅ニーズを生み出し、住宅市場の堅調さにつながっていますが、中でも米国では例年を上回る新築住宅が建設されており木材の需要急増と価格高騰につながっています。それがウッドショックの最も直接的な要因となっています。

製材の輸入量は2020年夏以降、大幅な減が続いていた(林野庁木材貿易対策室の資料より

世界的な状況の変化が影響

元々、世界的に住宅へのニーズそのものが高まっていた中で、コロナ禍によるニューノーマルのニーズが加わったことも、木材需要の増加と高騰の要因です。というのも、環境問題への高まりにより、世界的に省エネ住宅の必要性が高まっているからです。

ですので、欧米や中国などを代表に世界中で住宅ニーズが増し、木材の奪い合いといった状況になっており、それもウッドショックという状況をもたらした要因となっているのです。

木材の物流の状況も強く関わっています。大きなモノを大量に運ぶ際には船を使う海運が安価であり一般的ですが、その海運の混雑と、運ぶ際に使われるコンテナ不足も、ウッドショックの一因となっているのです。

木材を運ぶコンテナのイメージ

海運の混雑は、荷揚げや荷積みをする港で働く人たちが新型コロナに感染し人員が不足したこと、コンテナ不足はeコマース(インターネットでのモノの売買)が世界的に増加したことも影響していると言います。

 

既に始まっている建築費用の値上げ、着工の遅れ

ここまでがウッドショックの主な原因ですが、以下では日本の住まいづくりの現状について紹介します。まず、住宅取得費用についてですが、大手ハウスメーカーなどで若干の値上げが行われていますので、これは住宅業界全体の動きと言って間違いなさそうです。

また、着工や引き渡しの時期の遅れについて、大手ハウスメーカーでは現状、そのような事態にはなっていないようですが、中堅ハウスメーカーや地域の工務店、パワービルダー(分譲住宅事業者)では既に遅れが出ている事業者があります。

例えば、パワービルダーについては基礎部分だけが完成して1ヵ月ほどそのままで放置されていたり、数区画からなる分譲地の場合、一部の建物しか建築が始まっていないケースも見られました。

パワービルダーによる分譲住宅地。構造体となる木材調達ができず、基礎だけが完成した状態でしばらくの間、施工がストップしていた

いずれにせよ、大手ですら今後は着工・引き渡しに影響が出る可能性も否定できない状況です。このような状態が長く続くと、事業者の経営を圧迫することになりますから注意が必要です。

ところで、冒頭に申し上げたように現在は輸入材を使う住宅が数多く存在します。ウッドショックの今、国産材に切り替えれば良いのではないかと考えがちですが、それは簡単なことではありません。

 

より増える住宅取得で検討すべきポイント

輸入材と同様に国産材も高騰していますし、国産材を大量に安定供給できる状況にはないからです。また、住宅事業者にとっても、品質面などを考慮すると、輸入材から国産材へと切り替えることは容易ではないのです。

本来、日本は森林国ですから木材資源に富んでいると考えられますが、生産や供給の仕組みが合理化されておらず、それが国産材活用のネックになっていたのです。ですので、今回のウッドショックが国産材活用のターニングポイントになるかもしれません。

ウッドショックがいつまで続くかについては諸説あります。さらに、実は鉄骨の素材となる鋼材の価格も上昇傾向にあり、この他にも大工さん・職人さんの確保が難しくなっているなど、住宅取得費用の問題については木の家に限定されるものでもありません。

これらは施工品質の問題などにも強く影響します。いずれにせよ、現在、そしてこれからは住宅取得にあたっては注視しなければならないポイントが増えることが予想されますので、より慎重な検討が求められることをご理解ください。

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