2022.05.26
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住宅の工法・構造の知識【応用編】〜木造軸組orツーバイフォー? 鉄骨造or木造?〜

住宅の各工法・構造について知っておきたい基本知識」では、それぞれの特徴について紹介しました。この記事はそれを補足する内容となります。工法・構造はあくまで基礎的な事項であり、その知識をベースとする今回の補足内容は、良い住宅取得を検討するための材料となるはずです。

 

「木造軸組工法<2×4工法」は本当か!?

「基礎知識」では、「2×4工法は木造軸組工法より構造体の強度が高い」と書きました。しかし、これはあくまで一般論。現在の新築住宅では、木造軸組工法による住宅は2×4工法と同等の構造強度を有するケースがあります。

というのも、木造軸組工法では、集成材(複数の木材を結合させたもの)の採用や補強する接合金物の強化、2×4工法のようなパネルを用いるものなど様々な補強方法が開発・採用されているためです。
 

構造部材の接合部に用いられる金物の事例

以上のように、各工法・構造では様々な独自の技術革新が見られます。特に近年、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及が進んでいますが、そうしたことが進化の一因となっています。

例えば、2×4工法はパネルを形成する部材に2×4材ではなく、より断面が大きい2×6材を採用するケースが増えています。この場合、構造強度と断熱性能(断面が増えたことでより多くの断熱材を封入できる)がより向上しています。
 

このほかの一般論として「鉄骨造と木造、どちらが優れているか」があり、それぞれの陣営がそれぞれの優位性を挙げています。例えば、鉄骨造だと「火災保険の点で有利」としていたり、木造の方でも「木造は実は火事に強い」などと主張したりすることがあります。

 

鉄骨造vs木造 どちらが火災に強いか

住宅にとって火災は最大の脅威の1つ。1995年に発生した阪神・淡路大震災の経験から、住宅被害としてより懸念されることは、倒壊することよりも火災の発生や延焼だとされています。その際、一般的な木造住宅の火災に対する脆弱性が問題になったのは確かです。
 

火事の現場の様子。こうなってしまったら補修しても住み続けることは難しい


鉄骨造の住宅が火災保険の掛け金で優遇されることがあるのは、延焼しなかったという印象が強かったことなどが影響しています。しかし現在では、外壁などをはじめとする各種素材の進化もあり、木造住宅でも鉄骨造と同様の優遇を受けられる事例もあります。

また、「木材は表面の炭化により中心部まで延焼しないから鉄よりも火災に有利」などということが言われていますが、結局のところ火災の状況が悪化すれば、どちらも鎮火後に住み続けられるかどうかは不透明だと思われます。


要は火災の状況次第であり、最も大切なのは火災の発生を未然に防ぎ、延焼を食い止める仕組みなのです。ですので、「木vs鉄 どちらが火災に強いか」という議論はあまり重要ではないことだと考えられます。

 

複数の構造・工法を持つハウスメーカーも

現在は、鉄骨プレハブ系でも木造住宅を商品ラインアップに加えているハウスメーカーが増えていますし、その逆のケースもあります。そんなことからも、上記のような比較はナンセンスになりつつあります。
 

【複数の工法・構造を持つハウスメーカーの例】

  • 積水ハウス
  • 大和ハウス工業
  • セキスイハイム(積水化学工業住宅カンパニー)
  • ミサワホーム
  • パナソニックホームズ
  • トヨタホーム

それぞれの優位性について各々が独自の視点からの言い分を持っているから、事業者は他の工法・構造との比較をしたがるわけですが、だからといってそれが悪いことだというわけではありません。

中には、その独自性や優位点をしっかりと説明し、皆さんに理解してもらおうと努力している事業者も多くいます。その努力を表す施設やイベントには積極的に参加することをお勧めします。
 

こうした点を理解して住宅を取得すると、万が一の事態、例えば大地震が発生したなどという際にも安心感を得られますし、建物が無事なら復旧・復興にいち早く動くことができ、結果的に家族や地域社会に貢献することができます。

 

制震装置を装着した壁(左)と一般的な住宅の壁の強度比較の様子

ハウスメーカーはオーバースペックなのか

ところで、地域の工務店関係者が大手ハウスメーカーの住宅を評価する際に「オーバースペック」という言葉を使うことがあります。これは「必要以上に高性能で実際の状況には不釣り合い」を意味する言葉です。
 

確かに、住宅展示場のモデルハウスを見ると、建物が大きく豪華なためそう言いたくなるのも分かります。また、ハウスメーカーは他社との差別化に熱心ですから、その時その時の最新の設備・仕様を顧客に勧めようとします。

ただ、一方で彼らが供給する住宅がオーバースペックになりがちなのも理解すべきです。例えば現在、ハウスメーカーの中には地震対策となる「制震装置」や、省エネ性能が高いZEHを標準仕様のように展開するケースが増えています。
 

省エネに貢献する燃料電池「エネファーム」もハウスメーカーが設置を推奨するものの1つ


しかし、これは万が一のこと、先々のことを見据えたものです。万が一のことが無ければ制震装置などに代表される高度な地震・災害対策は無駄になるかもしれませんが、過去の出来事を見ると対策を行うことはとても大切なことです。

ZEHについても同様で、地球温暖化が深刻化する中で脱炭素社会の実現が世界規模で求められています。その中で、高い省エネ性能があるZEHの供給に力を入れることは、企業の社会的責任を果たすことにつながります。
 

かたや、現在でも省エネ性能が低い住宅を供給している住宅事業者も少なくありません。そうした事業者が、「ハウスメーカーはオーバースペックで高額」と、真剣な取り組みをしている企業を、半ば揶揄(やゆ)しながら評価している側面もあります。

予算的に見るとオーバースペックに見えるかもしれませんが、先々のこと、万が一のことを考えると高額なものが途端に安価に感じる、そんなことがありうるのが住宅という世界だということを理解しておきましょう。
 

もちろん、予算など皆さんが置かれている状況はそれぞれで、高いスペックを採り入れた住宅取得は難しいことも理解できます。しかし、可能な範囲で様々な設備・仕様を採り入れることを筆者は期待しています。

 

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