2021.11.25
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キッチンはどこまでこだわることができる?オーダーキッチンは高い?

注文住宅で建てることになったら、キッチンにもこだわりたい。システムキッチンではなく、サイズもデザインもレイアウトも、自分のライフスタイルに合うキッチンをオーダーすることはできるのでしょうか? これまで数々のキッチンのデザインを手がけてきた、キッチンのスペシャリスト和田浩一さんに、ちょっと辛口に住宅展示場の実情について教えてもらいました。賢くオーダーを活用する方法もご紹介します!

 

住宅展示場にあるキッチンの実情。

——注文住宅を考えているのであれば、住宅展示場に足を運んでいろいろなハウスメーカーの家を見てみるのは一つのアイデアだと思うのですが、取っかかりとして、展示されているキッチンを参考にしてみるのがいいのでしょうか?

和田:住宅展示場で展示されているキッチンの実情は、オーダーでつくっていることが多かったり、もしくは、いくつもあるキッチンブランドのなかでハウスメーカーが懇意にしているブランドのものを設置していることが多いんです。

——そうなんですね。

和田:だから、家の全体の雰囲気としてこんな感じはどう? ということを知る場所だと言えますね。さらに言えば、ハウスメーカーとお付き合いのあるブランドとの関係性などもあるので、必ずしもそのハウスメーカーの理想の形が展示されているわけではないんですよ。これはキッチンだけの話ではないですが。

和田浩一/1965年福岡県生まれ。インテリアデザイナー、キッチンデザイナー。九州芸術工科大学卒業後、トーヨーサッシ(現LIXIL)勤務を経て、1994年STUDIO KAZを設立。バンタンデザイン研究所など多数の専門学校や大学での講師を歴任し、年間30回以上のセミナーや講演を行う。2012年からオーダーキッチンに特化した展示会「キッチンコンシェルジュ」(2017年からキッチンワールドに改称)をプロデュース。2014年に工務店にキッチンについて指導する「キッチンアカデミー」を立ち上げ、2020年には海外キッチンメーカーのショールーム「THE KITCHEN DEMO & lab.」(大阪)を開設。著書に『キッチンをつくる/KITCHENING』(彰国社)など。

 

——では、実際にハウスメーカーを決めて注文住宅を建てるとなると、どうやってキッチンのプランニングをしていくんですか?

和田:設計または営業の担当者と現場の土地を見て、プランがスタートします。そして、全体の予算のなかからキッチンのグレードを決めていきます。よく耳にする「システムキッチン」ですね。ハウスメーカーだとコーディネーターも携わると思うので、この内装にはこのキッチンが合いますよと、おすすめもしてくれると思います。もちろんお客さんが絶対にこのキッチンじゃないとダメということもありますが、ほとんどの建築設計士は、全体の予算に応じてキッチンが占める金額の割合を決めているんですね。

——施主がキッチンブランドを選ぶこともできるんですか?

和田:得意・不得意はあると思いますが、どこでも選べるはずですよ。得意・不得意というのは、仕入れの掛率が高いか低いかということですが(笑)。

——でも一応選ぶことはできる、と。

和田:とは言っても、どのブランドも日本のものは正直言って大差ないんですよね。

——どういうことでしょう?

和田:各ブランドのキッチンには、アッパー、ミドル、ベーシックという、だいたい3つのタイプがあるのですが、特にベーシックタイプは、デザインもクオリティも素材も、レイアウトや使い勝手も、さほど変わりはないと言っていい。差があるとすれば、扉の色や柄が違うというくらいですね。

——でも一応、どのタイプにするかは選ぶことはできるんですね。

和田:はい。でも、予算に余裕があるのではない限り、基本的にはベーシックタイプのキッチンになることがほとんどです。建売を含めて住宅の6〜7割はベーシックタイプのキッチンという印象ですね。どのキッチンブランドの形もサイズもほぼ同じで、端から端の長さも変わりません。ですから、レイアウトというよりは、お客さんの好みで天板をステンレスにするか、人工大理石がいいかなど、それに合わせてブランドを選ぶという意味で、コーディネートの話に近くなりますね。

 

キッチンをオーダーするという選択肢も考えてみよう。

——システムキッチンではなく、もう少し自分の好きなデザインにしたい場合、キッチンをオーダーすることはできるんでしょうか?

和田:オーダーするという発想がお客さんのなかにあまりないのは、私も日頃から感じていることです。キッチンは選ぶものだと思ってる方が多いですね。多くの住宅メーカーにとって手離れが悪い存在なので、オーダーキッチンはなかなか好まれないかもしれません。でも、希望を伝えることはもちろんできますよ!

——言いづらいと思っている人も多いはず……。

和田:自分の家なんだから、わがままになっていいですよ。一生に一度かもしれない高い買い物をするわけですからね。

——なるほど、そうですよね。例えば、システムキッチンに、コンロや食器洗浄機だけは海外ブランドのものを入れるということはできるんでしょうか?

和田:できなくはないですが、決まったサイズに無理に入れ込むことになるので、不恰好に納まっている施工例を見たことがあります。あまりおすすめはしないですね。

——フルオーダーするならいいけれど、中途半端に海外製品を組み合わせるなら、ハウスメーカーが提示してくれるものを使ったほうがいい、と。

和田:例えばドイツのMiele(ミーレ)社の食器洗い機はカッコよくて人気がありますが、それを入れたい場合は最初からオーダーにしたほうが本当はいいですね。

——でもフルオーダーにすると、どうしても予算オーバーになってしまいますよね。

和田:それがね、そんなことはないんですよ。オーダーキッチンは高いと思われてるんですけど、やり方によってはそこまで高くないです。

——えっ、そうなんですか!?

和田:以前、僕がマンションのリノベーションを担当した一例なのですが、お客さんの予算を考えると、キッチンにかけられるのが120万円がマックスだったんですね。でも、幅60cmの海外製食洗機を入れたいと言うので、納まるキャビネットを探してみるとどこのメーカーもないんです。そこで現場監督と相談して、建具屋さんでつくったらどうなるだろう、と。結果、120万円以下に収めることができました。システムキッチンのベーシックタイプの主流は、国産の小さな食洗機がついて、定価が120〜150万円ほどが相場です。それをハウスメーカーでは2、3割引いて販売することが多い。なので、オーダーでもほぼ変わりはないですよね。

——やり方次第では、フルオーダーが可能ということですね。キッチンを使うのは日々のことですものね。そう考えると、どんなキッチンにしたいのかクリアになってきます。

和田:僕は過去にメーカーの開発で働いたことがあるのですが、メーカーはキッチンのフルモデルチェンジの開発をするのに、1年半〜2年ほど時間をかけるんですね。生活研究所のような機関から、2年先の人々のライフスタイルを予想したデータをもらって、所得層や家族構成、流行などを判断して一つの家族像を想定するんです。そして、その家族像が使うキッチンの開発を進めるという流れです。

——なるほど。

和田:でも、想定されたドンピシャの家族がいれば、その家庭にとってそのキッチンは100点満点だと思うけど、その他の家族にとっては100点ではない。7割ほどの人が70点くらいつけることができるのが現状のシステムキッチンです。

——システムキッチンをどこまで許容できるかという話になってきますね。自分のライフスタイルを知ることが大事ですね。

和田:ええ。ただ、自分のライフスタイルを客観的に分析するのは意外に難しいものです。ですから、オーダーキッチンの大きなメリットの一つは、経験豊富なデザイナーと密に相談ができたり、こんなキッチンはどうですか?と、提案をもらえることだと思います。かと言ってオーダーキッチンが絶対ではないですよ。その人にとってシステムキッチンがベストであれば一番いいですから。でも、選択肢があるということをもっと知ってもらえたらうれしいですね。

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