2021.12.16
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プロに聞く。キッチンのレイアウトはどう考えればいい?

せっかく住宅を建てるならおしゃれなキッチンがいいけれど、使い勝手がいいほうがいいなぁ。アイランドキッチン、壁を向いているキッチン……と、いろいろあって迷うし、そもそもキッチンのレイアウトって、何から考えたらいいのかわかりません。そこで、キッチンのスペシャリストであるインテリアデザイナー・和田浩一さんにお話を聞きました。

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キッチンで過ごす時間を知ろう。

和田:キッチンって、実は圧倒的に外から眺めている時間が長いスペースなんですよ。

——えっ!?

和田:というのも、1日のなかでキッチンにいる時間はすごく限られていますから。1日のうちトータルでどのくらいキッチンにいますか?

——う〜ん、朝起きたらコーヒーを入れてトーストを焼いたりするのと、夕飯をつくるのに1時間ちょっと。合計で2時間くらいでしょうか。

和田:そうですよね。旦那さんやお子さんが10分ずつほど入ることがあるとしても、家族みんな合わせてキッチンにいる時間は、だいたい2時間半といったところでしょうか。1日の残りの時間は外からキッチンを見ているか、別の場所にいるということになりますね。

——あれっ、本当ですね。生活のなかでキッチンはすごく大事なスペースのような気がしていたので、目からウロコです。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

和田:食を生み出すところですから大事な場所であることには間違いないですし、最近はキッチンを中心にプランニングすることが主流になっています。でも、キッチンの外にいる時間のほうが長いのに、空間のなかでそんなに目立っていいものかと思うんです。ご自身が納得のいくデザインができて素敵な目立ち方をするならいいのですが。

和田浩一/1965年福岡県生まれ。インテリアデザイナー、キッチンデザイナー。九州芸術工科大学卒業後、トーヨーサッシ(現LIXIL)勤務を経て、1994年STUDIO KAZを設立。バンタンデザイン研究所など多数の専門学校や大学での講師を歴任し、年間30回以上のセミナーや講演を行う。2014年に工務店にキッチンについて指導する「キッチンアカデミー」を立ち上げ、2020年には海外キッチンメーカーのショールーム「THE KITCHEN DEMO & lab.」(大阪)を開設。著書に『キッチンをつくる/KITCHENING』(彰国社)など。

キッチンのプランニングは、4つの要素から考える。

——そもそも注文住宅でキッチンをつくる時に、まず何から考えたらいいのかわからないです……。

和田:キッチンを分解してわかりやすくしてみましょうか。僕は、キッチンとは4つの要素に分けられると考えています。それは、火、水、包丁、収納です。要はキッチンのプランニングって、この4つをどう構成するのかということなんですね。

——わぁ、すごくわかりやすいですね。

和田:4つの要素のなかで、火と水と包丁は天板の上で行う作業ですよね。収納は天板と直接は関係がないので、他の3つの要素とは切り離して考えることができます。そうやって、天板と収納を切り離してみると、キッチンのプランニングはすごく自由度が高くなるんですね。

——なるほど。

和田:では、火と水と包丁のなかで、手元から目を離していい作業はどれでしょう?

——水ですか。火と包丁は目を離したら危ないですもんね。

和田:そう、水ですよね。そこでまず、水=シンクをどこに置くかを考えるんです。それは、使う人の一番気持ちがいい景色を見られる場所です。窓から見える富士山や庭の桜かもしれないし、家族でもいいし、テレビでもいいですよ。壁に向かっているほうが集中できるならもちろん壁側でもいい。その位置にシンクを持ってくるんです。

——おぉ、もうシンクを置く場所が決まりましたね!

和田:次は、火=コンロです。油や煙が出る料理をよくする人は、コンロを対面側に持ってこないほうがいいですよね。それでも旦那さんの顔をいつも見ていたいというなら別ですが(笑)。その場合は、必ずレンジフード(排気設備)までガラスを立てるなどの工夫をして、できるだけ煙の拡散を防ぎます。

——確かに、住宅展示場に展示しているキッチンで、油はねを防ぐ大きなガラス板が立ててあるのを見たことがあります。

和田:そして次は包丁ですが、シンクとコンロの間で使うことがほとんどですよね。そこにまな板が置けるスペースはどれくらい欲しいのか、ということを考えるんです。こうやって水と火と包丁の場所は意外と簡単に決まるのですが、その位置関係をまっすぐにするか、L型にするか、丸型にするか。それがキッチンのレイアウト方法です。

——ハウスメーカーで注文住宅を建てる場合も、基本は同じだと考えていいですか?

和田:システムキッチンにも同じことが言えますが、メーカーのキッチンは基本的にはパッケージになっているので、おおよそ火の位置と水の位置は決まってしまうことが多いと思います。あえてL型を選ばない限りは、壁に向かっているか対面型のどちらかを選ぶということになるでしょう。でも、いま人気なのは対面型ですね。

——では、収納の考え方はどのようにすればいいのでしょう。

和田:対面型だとキッチンに立つ人の背後に収納を置くことが多いですよね。壁付け型なら、その横側にしたり、対面しているダイニング側に持ってくることも考えられます。

——システムキッチンの場合は、冷蔵庫などの家電製品をどこに置くか先に考えておく必要はありますか?

和田:システムキッチンも今は対面型が主流で後ろが収納になっているので、そこに冷蔵庫などの家電が並びますね。理想的なのは、キッチンの近くにパントリーを設けて、そのなかに冷蔵庫や形のそぐわない家電などを入れて、家電を隠すデザインにできるといいのですが。それで、リビングやダイニングから見えるところには、コーヒーメーカーなど気に入っている家電や見せたいものを置くという感じですね。

 

対面型 or 壁付け型は、ライフスタイルに合わせて選ぶ。

——基本的にシステムキッチンの場合、レイアウトはほぼ決まってしまうものなのでしょうか?

和田:それは、設計者がどうレイアウトするか、その力量にもかかってきますね。

——例えば、使いやすいキッチンを希望した時に、設計士さんのおすすめするレイアウトに委ねるのがいいのでしょうか?

和田:まず自分の生活スタイルを考えるべきです。それによって対面型にするか壁付け型にするか決まってきますね。先ほども少し触れましたが、例えば、焼き魚とか揚げ物など煙が出たり油を使う料理をよくする人は、対面側にコンロは持っていかないほうがいい。リビング中に臭いと油が充満してしまうので。

——ちなみに、アイランドタイプの使い勝手は、実際どうなんでしょう。おしゃれでお料理好きな人が選んでいるイメージがあるのですが。

和田:確かにアイランドキッチンを希望するお客さんも多いです。正確には、アイランドキッチンとは四方が壁に属さずに独立しているタイプのことですね。でも今の主流は、片側が壁に接しているペニンシュラタイプです。アイランドとペニンシュラの区別がついていない人も多いかもしれません。

——よく「オープンキッチン」と言いますけど、アイランドとペニンシュラの2タイプがあるということですね。

和田:そうですね。皆さんがよくオープンキッチンというのは、対面型にこだわっているということだと思います。対面型で何を求めているかというと、一人ぼっちになりたくないということではないでしょうか。寂しがりやの人なんじゃないかなぁなんて思ったりしますが(笑)。

——あはは(笑)。

和田:要は、家族のほうを向いていたいということですよね。特にお子さんが小さいと視界に入るところで料理をしたいとか、ね。でも、住宅を建てる時に少し考えてもらいたいのは、子どもはいつまでも子どもではないということ。果たして5年後、10年後に、対面型のキッチンが使いやすいかということを想像してみるといいかもしれませんよ。

——子どもはあっという間に成長するので、本当にそうですね。あの、壁付け型か対面型のどちらが使いやすいというのはあるんでしょうか。

和田:それはね、その人がどうしたいかが大切で、どちらでもいいと思います。料理がすごく好きな人は、壁を向いていたほうが集中できるということもあるし、テレビを見ながらとか、家族の様子を見ながら料理したいという人は対面型のほうがいい場合もある。やはりその人のライフスタイルに合わせて選ぶのが一番ですね。それぞれの家庭でコミュニケーションの取り方や考え方は違いますから、じっくり考えてみてほしいです。

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キッチンはどこまでこだわることができる?オーダーキッチンは高い?

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