2022.06.07
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住まいにとって良い「デザイン」とは。知っておきたい基本的なこと

誰でも素敵な住まいに暮らしたいものですが、それを左右するのがデザインの善し悪しと考えるのではないでしょうか。では、良いデザインとはどのようなものなのでしょうか。かつてとは考え方もずいぶんと異なっています。この記事で、住まいのデザインについて考えてみましょう。
 

「デザイナーズ住宅」って優れたデザインの住宅なのか

大変印象的な外観となる非曲面を採り入れたデザインの住宅


住まいの世界では、「デザイン」という言葉がよく使われます。外観や内装についてが代表的ですが、間取りなどを含む全体についても同様です。要するに意匠性だけではなく、「設計」などについても使われることがある、大変幅広い意味を持つ言葉です。


ですので、設計担当者について「デザイナー」と表現する場合もあります。ちなみに「デザイナーズ住宅」という表現もありますが、これは、特段に優れた設計者によるものではないことがほとんどです。


主に都市型の分譲住宅、中でも狭小な建物に使われ、あまり特徴がないことを補うため、内外観をオシャレにコーディネートしたものであることが多いのが実情で、中には「これって本当にデザイン的に優れているの?」と思ってしまうものもあります。


デザイナーズ住宅という表現はあくまで宣伝文句に過ぎないのです。いずれにせよ、デザインの善し悪しというのは大変主観的で、人それぞれ。だからこそ、こうしたことがまかり通っているのではないでしょうか。


そもそも設計の作業は、敷地や周囲の状況、構造強度、家族構成、ライフスタイルなどを考慮しながら、建物の大きさや形状、間取りを決定、さらに外観、インテリアのコーディネートを行うといった段階を踏むものです。


そうでなければ暮らしやすい住まいにならないからです。要するに、上記のような基本的な設計要素と見た目の良さを両立していることが住まいづくりの基本なのであり、見た目だけが良いというのはあまり好ましくないのです。
 

外部の建築家を起用するハウスメーカーも

では、よりハイレベルなデザインが施された住宅がどんなものかというと、それは設計に無理がなく、見た目にも優れていて、なおかつ暮らしやすい(使い勝手が良い)ことを全て兼ね揃えたものだと言えそうです。
 

そして、それを実現できるのはしっかりとした研鑽(けんさん)を積んだ設計担当者でなければ本来は難しいもの。ですので、皆さんは提案されるものに対して、どんなところが良いデザインなのか、工夫があるのかをしっかりと説明してもらうようにしましょう。
 

掃き出し窓のまたぎ部分をあえて広くとり、ベンチのように設えた事例。
またぎという本来はあまり使われない部分を有効活用し、しかも収納も設けた良いデザインと考えられる


なお、ハウスメーカーの中には、それぞれの会社で基準を設け、高いデザイン力を持つ設計担当者に対して「デザイナー」的な名称で、それ以外の担当者と分けて呼称するケース、さらに自社の設計担当者以外に、外部の設計者(建築家)を起用できる場合もあります。
 

【独自の設計者評価制度を設けているハウスメーカーの事例】

  • 積水ハウス
  • 大和ハウス工業
  • パナソニックホームズ
  • 住友林業 など


【自社以外の設計者を起用できるハウスメーカーの事例】

  • 三井ホーム
  • ミサワホーム など


ところで、住宅のデザインは時代と共に大きく中身を変えています。それは衣服のデザインのあり方とよく似ています。伝統的、基本的なデザインはありますが、今では現代的なニーズに合うようかたちを変えています。

住宅についても、和・洋・折衷といった基本的なデザインがありますが、間取りなどの内容は築30年、40年以上前の住宅のあり方とはだいぶん異なってきました。分かりやすいのがLDKの考え方です。
 

LDKで見る従来と現在の違いとは

従来型の住宅ではリビング、ダイニング、キッチンがそれぞれ分かれていて、機能がそれぞれで限定的になっているケースが多かったのですが、現在ではそれらは一体化しています。これには理由があります。

現在の住宅を取得している人たちの主流が、子育て・共働き世帯が多いこと。LDKが一体化していることで、子どもの様子を見ながら料理などの家事がしやすいということで、LDK一体型が増えているのです。
 

現在主流となっているLDK一体の空間


ですので、キッチンも従来型では壁据え付け型が多かったのですが、現在は家事動線の面で効率が良いペニンシュラ型、アイランド型がより一般的になってきました。
 

ちなみに、壁据え付け型が決して良くないというわけでもありません。これは、キッチンのスペースがその他より限定されますから、リビングとダイニングのスペースをより広く確保できます。そのため、居住面積に余裕があまりないケースなどにお勧めできます。つまり、ケースバイケースなのです。
 

LDKに隣接するかたちで浴室や洗濯スペースを配置する間取りも増えてきました。これは忙しい暮らしを送る共働き世帯の人たちの家事動線を短くし、時間に余裕を持てるようにするためです。
 

LDKに隣接してタタミルームを設けると、小さなお子さんがいる世帯では使い勝手が良くなる


このほか、LDK関連では、従来型の住まいでは玄関ホールに階段がありましたが、近年は「リビング階段」が増えています。これも家族のライフスタイルに関する考え方が変化したことを反映しています。

リビング階段のスタイルでは、家族全員が必ずLDKを経由して2階にある個室に移動します。つまり、家族交流の機会が従来型より増えるというわけです。従来型でも家族の交流が軽視されていたわけではないでしょうが、このあたりも時代の雰囲気が表れているように思われます。
 

上記のようなLDK設計のあり方の変化は、構造の強化によって空間を従来より広くとれるようになったことなど、技術的な進展も影響していると考えられます。それと、私たちの暮らしについての考え方も影響していると思われます。
 

例えば、かつての住宅では「浴室は北側に、リビングは南側に」などという考え方がありました。そうすることで、住まいの快適性を確保できると考えられていたためです。しかし、現在ではそうした考え方にとらわれない事例も増えてきています。
 

換気などのシステムの導入、大きな窓を設けることで北側にリビングを設けても、ある程度の明るさを確保できるようになり快適な空間を実現できるケースも増えてきたためです。
 

もちろん、そうしない方がベターなケースもありますが、かつての常識にとらわれない住まいづくりにチャレンジできるようになってきているわけです。

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