2022.05.19
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住宅の工法・構造について知っておきたい基本知識

日本の戸建て住宅には、様々な工法・構造があるのが特徴です。どれが自分たちの住まいにマッチしているのか、迷ってしまうくらいです。それぞれにどのような特徴があるのか理解しておくことも、満足度の高い住宅取得にあたって重要な要素となります。この記事でざっくりと紹介します。

 

世界的に珍しいバラエティに富む日本の住宅工法・構造

日本の住まいには、大きく木造、鉄骨造、コンクリート造があり、またそれぞれでいくつかの種類に分類されます。これは世界的には珍しいこと。例えば、米国など北米ではツーバイフォー(2×4)工法が一般的ですし、欧州、オーストラリア、中国などでも新築住宅の多くが2×4工法で建てられています。
それ以外の国々は、コンクリート造や木造などが混在していますが、いずれにせよ日本ほど住宅の工法・構造がバラエティに富んでいるわけではありません。また、外壁材として使われる素材もそれほど多くはありません。
 

では、なぜ日本の住宅の工法・構造がバラエティに富むのかですが、それは第二次世界大戦後の住宅不足の際、安定した品質の住宅を大量に供給できる仕組みが必要だったこと、さらに地震による被害を軽減するために行われた試行錯誤の結果だと考えられます。
また、日本の住まい事情は、例えば内外観のデザインを見ても分かりますが、海外から様々なアイデアを貪欲に吸収して今のかたちになっています。それは工法の側面から見ても言えることだと思われます。
 

ちなみに、「工法」と「構造」の違いについて、少しだけ触れておきます。工法は、住宅を建築する際の仕組みです。構造は、建物を形づくるための仕組みのことを言います。ただ、実際には混在して使われることが多いようです。
この記事では、それらの違いについてあまり詳しくは触れず(混在させながら)、紹介していきます。詳しく紹介すると、皆さんが混乱してしまうと考えるからです。さて、日本の住宅工法は以下のように分類されます。
 

【木造住宅】

  • 木造軸組工法
  • 2×4工法
  • 丸太組工法

【鉄骨造】

  • 軽量鉄骨造(軸組構造とパネル構造)
  • 重量鉄骨造

【コンクリート造】

  • コンクリート造

 

 

木造工法は木造軸組、2×4、丸太組の3種で構成

では、木造住宅の木造軸組工法から見ていきます。これは伝統的建築法を継承したもので「在来工法」とも呼ばれています。日本の住宅建築に最も多く採用されている工法です。構造体は柱と梁、筋交いなどの部材で構成されます。
 

木造軸組工法による住宅の施工現場

実際にはそれらの部材の中で数種類に分かれますが、いずれにせよ各部材とそれぞれの接合部分、つまり線と点で構造体の強度を作り出すことが特徴です。部品点数が比較的多く、そのため狭小・変形敷地などへの対応力にも優れています。最も多く採用されている工法ですので、施工に対応する事業者、大工・職人さんが最も多いのも特徴です。このためリフォームやリノベーション(大規模なリフォーム)が比較的容易であるというメリットも有しています。

2×4工法は北米由来のもので、1970年代初頭に日本の住宅に採用されました。2×4というのは、使用される木材の断面が2インチ×4インチであるためです。その木材で枠を作り構造用合板を貼り付けたパネルを用いるため、「枠組壁工法」とも呼ばれています。
 

2×4住宅のパネルを製造している様子

そのパネルを使って面で構造体を構成する(六面体のイメージ)のが特徴で、一般的な木造軸組工法が線と点で強度を作り出すのに対し、2×4工法は面で強度を作り出すため、地震などにより強い構造と言われています。
 

また、柱のない大空間をより実現しやすいという特徴もあります。間仕切り壁を取り払うなどのリノベーションが難しい、などと一般的に言われていますが、現在の新築住宅では様々な技術や素材が開発されていますから、あまり心配しないでも良さそうです。
 

丸太組工法については、丸太を横に組み(積み)上げる手法が取られるのが一般的。丸太そのものに幅があり断熱性が高いため、特別な断熱施工をせずに快適な空間づくりができます。かつては、別荘などの需要が多かったのですが、近年は様々な改良から市街地の住宅向けも増えてきました。
 

丸太組工法による住宅

内装工事のやり方にもよりますが、内装は木材をむきだしにすることが一般的。ですので、他の工法と比べ、木の雰囲気を一段と強く感じられます。ワイルドな暮らしをお望みの方にはぴったりでしょう。

 

大きく軽量と重量の2タイプに分かれる鉄骨造

次に、鉄骨造について。軽量鉄骨造は断面をC型に加工することで強度を高めた鋼材を使用するもの。大きくは木造住宅における木造軸組工法と2×4工法のような2つのタイプに分かれます。鉄は木材に比べ構造強度がより一定であるため、構造計算上の性能が確保しやすいのが特徴です。
 

軽量鉄骨造の構造体の一部

後ほど紹介する、プレハブ工法を採用する鉄骨系の大手ハウスメーカーがこの分野の主力であるため、高い信頼性があるのが特徴です。なお、この分野には「スチールハウス」と呼ばれる住宅を供給する事業者も存在します。
 

一方、重量鉄骨造は主に3階建て以上に採用されるもの。軽量鉄骨造より鋼板形状が四角で厚く、柱・梁もより大きなものが用いられます。高層ビルなどで使われる工法の住宅版と考えると分かりやすいでしょう。
 

重量鉄骨造の施工現場

柱のない大空間が作りやすい上、賃貸住宅や店舗、二世帯居住などといった高度な建物の利用が可能なことも特徴の1つです。この工法は大手ハウスメーカーのほか、地域の建設会社などが対応しています。

 

耐震性や意匠性に優れるコンクリート造

工法の最後はコンクリート造。正確には鉄筋コンクリート造ですが、型枠の中に鉄筋を入れコンクリートで固めるという手法によるものです。鉄の柔軟性とコンクリートの剛性を併せ持つという特徴があります。
 

コンクリート造の壁内部の様子

コンクリート造は、他の工法に比べ耐震性に優れる上、意匠性に富んでいることが特徴です。意匠性の面では、曲面などを採り入れやすいため、個性的な形状の建物が実現しやすいわけです。一方で、他の工法に比べ高コスト、長工期になると言われています。

 

「プレハブ」とそれ以外の違いとは

以上は工法・構造に関するごく基本的な事項ですが、それぞれにはプレハブ工法か非プレハブ工法かの違いもあります。プレハブとは「工業化」を意味し、要は工場で部材の多くをより効率的に生産し、それを施工現場に運んで質の高い家づくりを行うというスタイルです。
 

鉄骨プレハブ住宅の部材生産工場の様子

工場を持つためには、資本力と多くの人材が必要であるため、プレハブ工法による住宅を供給しているのは大手ハウスメーカーがほとんどであり、その住宅は非プレハブ住宅とは違い数多くの特許などで守られた独自技術が盛り込まれています。
 

つまり、誰でも扱える(厳密には違いますが)木造軸組や2×4工法などによる住宅とは異なり、リフォームやリノベーションはその住宅を建てた事業者ではないと難しいという特徴もあります。そうしたことから、プレハブ工法は「クローズド工法」、それ以外は「オープン工法」と称されています。
 

ユニット住宅の施工現場の様子

なお、プレハブ工法の住宅にも、木造、鉄骨造、コンクリート造があります。このうち、木造は2×4工法の進化版というイメージです。また、「ユニット工法」というものもありますが、これは一般的なプレハブ工法よりさらに工場生産の比率が高いものです。

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