2021.12.21
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ZEH(ゼッチ)とはどんな住宅? 善し悪しを判断する材料は何?

今、住宅取得を検討している方なら、「ZEH」(ゼッチ)という言葉を耳にされたことが必ずやあると思われます。省エネルギー住宅の決定版というイメージで、国や住宅事業者が普及に取り組んでいる住宅のことですが、どんな建物なのか最近の動向なども含め解説します。

 

健康的な生活が可能になることもメリット

現在、国はZEHをはじめとした省エネ性能が高い住宅の普及を推進している

ZEHは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略。断熱性が高い建物に、LED照明や高効率給湯器・エアコンなどの省エネ機器、太陽光発電などの創エネ機器などを組み合わせることで、年間の(一次)エネルギー収支がおおむねゼロになる住宅のことを言います。

「収支ゼロ」というのは、私たちが生活の中で使用するエネルギーの量と、太陽光発電などで生み出されるエネルギーの量が同じになるという意味です。再生可能エネルギーをより積極的に活用できるため、地球環境に優しい暮らしができる住宅というわけです。

電力会社から電力を購入することも必要ですから、当然のことながら光熱費はかかりますが、無断熱の住宅や築20~30年前の省エネ住宅に比べて、それは大きく削減されます。そのため経済性が高い住宅とも言えます。

ZEH仕様の住宅では壁などの断熱材が増量されるなど強化されている

このほか、断熱性が高い住宅ですから、特に冬場の室内の温度差による体調不良、いわゆる「ヒートショック」のリスクが低くなると言われています。つまり、住む人の健康面にも良い作用がある住まいだという特徴があるのもZEHなのです。

 

国もZEHを強力に推し進めようとしている

政府は脱炭素社会実現に向け、ZEHが年間に新築される住宅の5割になることを目指して普及を進め、そのために補助金制度を設けています。2021年の補助金額は1戸あたり「60万円+α」。+αは、ZEHの性能を強化(創エネがプラス、災害対応力があるなど)した場合に加算されるものです。

例えば、燃料電池(エネファームなど)、蓄電システム、V2H(住宅と電気自動車で電気をやりとりできるシステム)充電設備の導入などがそれにあたり、最高では1戸あたり105万円になります。

ちなみに、この補助金制度は新築(注文、分譲)だけでなく、リフォームする既存住宅も対象となっています。また、ZEHだけでなく、省エネに貢献する長期優良住宅の認定を受けた住宅などにも補助金が出ます。

さて、国は今後、新築の戸建て住宅についてはZEHをはじめとする省エネ住宅以外は建築を認めないという方向性を持っているように思えます。というのも、大型建築物についてはすでに省エネ基準への適合が義務化されていますし、新築戸建てについては、ZEHの普及にあたって「ZEHビルダー/プランナー」という登録制度を設けて、供給の目標やその達成度を公表する制度を設けているからです。これは、将来の(省エネ基準適合を含む)義務化の前触れと見て取れます。

では今、ZEHはどれくらい普及しているのでしょうか。大手住宅メーカーでは年間供給の5割を超えたくらいですが、中には9割近くにまでZEH達成度が高まっている企業もあります。ただ、全体ではまだ2割程度と見られています。

 

ポイントは太陽光発電と窓

最高レベルの断熱性能を誇る木製複層ガラスサッシ

ところで、実はZEHを実現するのは、技術的にはそれほど難しいことではありません。というのも、屋根に大容量の太陽光発電を載せて、開口部(窓など)を小さくすれば、太陽光の発電量>電力消費量となるからです。

このことから分かるように、ZEH実現のカギとなる大きな要素は、太陽光発電と窓の2つです。このうち、太陽光発電は、屋根に十分な発電容量のパネルを載せられない狭小住宅では実現が難しくなります。

また、周辺にマンションやビルが建ち並び、発電に必要な日照量を得られにくい場所に建つ住宅も実現が困難です。家族が多く消費エネルギーが多い二世帯住宅なども同様です。要するに、都市型住宅でのZEH実現はハードルが高くなります。

この不利な点をカバーするために、ガスを燃料に自宅で発電できる燃料電池「エネファーム」などを、創エネアイテムとして追加。さらに、蓄電池により太陽光発電の電力を無駄なく活用できるようにする仕組みなどがあります。

発電時にお湯も沸かせるため効率性が高い「エネファーム」

最近は、脱炭素社会の実現やさらなる省エネの必要性から、エネファームを設置すれば太陽光発電を無料で設置する、あるいは太陽光発電を設置すれば蓄電池が無料、などというサービスが登場し始めています。

これは、太陽光発電による電力をサービス提供先が買い取ることで可能となるものです。エネファーム関連ではガス会社がこのサービスを行っていることが多いですが、いずれにせよ詳しくはハウスメーカーなどに問い合わせをしてください。

もう一つの要素、窓についても確認しておきます。一般的な住宅の状況を見ると、窓を通じて冬には約52%、夏には約74%の熱が流出・流入すると言われています。要は、壁よりも熱の動きが大きいわけです。

こうしたことから、ZEHを実現するために、窓などの開口部をできるだけ小さく設計する住宅事業者もいるわけです。しかし、これだと明るく開放感のある住まいは実現できず、暮らしの満足度も高くならないはずです。

このことで分かるのは同じZEHと言っても、使われる窓や断熱材の性能を含め、事業者の提案力には差があるということ。試しに、住宅展示場に行ってみてください。窓が大きく開放感があるモデルハウスと、窓が狭く窮屈に感じるモデルハウスがあるはずです。

新たに住宅を取得する目的は省エネ生活をするためではないはずですし、ZEH仕様にすると補助金があるとはいえ建築費が高くなることは間違いありません。しかし、脱炭素社会が形成される中で、ZEHでの暮らしは一般的な住宅に比べ、光熱費などの点で優位性が出てくるはずです。

ですので、ハウスメーカー選びの際には、その点も含めてしっかりと検討されることを強くお勧めします。

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