2021.11.22
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ハウスメーカーは高い?坪単価など注文住宅の価格の仕組み

住宅取得は「一生で最も高額な買い物」と言われるだけに、価格についてはナーバスになりがちです。ただでさえ内訳が分かりづらい上、特に「ハウスメーカーは高額!」というイメージもあるからです。この記事では価格についての考え方や「なぜ高額なのか」、も含めて、ハウスメーカーによる住まいづくりのコストについて解説します。

「定価」がない注文住宅の世界

最初にご理解いただきたいことがあります。それは、注文住宅は1棟1棟で価格(総建築費用)が全く異なる、あるいは価格に大きな幅があるということ。と言うのも、それぞれが異なる条件の敷地の上に建てられるからです。

また、施主の好みや家族構成、生活スタイル、予算もそれぞれですから、建物のデザインや間取り、設備・仕様の内容も当然ながらそれに合わせて変わります。要するに、住宅の価格は大きな幅が生じるのが当然なのです。

また、ハウスメーカーはそれぞれが「商品」を用意していますが、それは完成品ではないことも理由の1つです。ほぼ完成品を販売している自動車や家電などの他の商品とは性格が異なるのです。

そこに住宅、特に注文住宅による住宅取得の難しさと奥深さが最もよく表れていると、筆者は感じています。裏を返せば、このことを理解していないと、満足度の高い住まいづくりは難しくなると思われます。

住宅価格の中身はどうなっている!?

さて、住宅の価格は大きく、「建築工事費(本体工事価格)」「特殊工事費」「別途工事費」「諸経費」で構成されています。まず、建物工事費には建物の躯体(くたい)、さらには基礎の費用も含まれる場合があります。

あるハウスメーカーのケースでは、本体工事価格のうち基礎を含む構造部分が6割から7割を占め、内装部分にかかる金額は残りの3割から4割になるといいます。構造部分は安心・安全を支えるものですから、大きな費用がかかるわけです。

住まいの安心・安全を支える重要な部位である基礎工事の様子

ちなみに、基礎は地味な存在ですが、本体を支える重要な部分。地盤が軟弱である場所の場合、杭を打って補強が必要になるケースもあり、建物の大きさによりますが100万円から200万円程度になることもあるようです。これが代表的な特殊工事費です。

別途工事費とは、給排水や電気の屋外配線工事、ガス屋内外配管工事などの費用を指します。例えば「旗竿敷地」(周囲の住宅に囲まれ道路に接していない敷地)の場合、建物と道路の距離が大きくなるため、工事費や材料費が高くなるのが一般的です。

諸費用は「設計図書作成・工事監理費」「契約図書印紙税」「住宅性能評価申請手数料」「敷地調査費」「ローン手続手数料」など。この他に「登記費用」「不動産所得税」「外構(エクステリア)費用」「解体費用」「火災保険料」などもあります。

忘れてならない消費税もあります。なお、土地から探す方は土地代もかかりますが、以上から住まいづくりには本当にさまざまなコストがかかり、そしてチェックすべき点が多いことをご理解いただけると思います。

「坪単価」は参考程度と考えよう

ハウスメーカーの価格やグレードを評価する際に、よく「坪単価」という言葉を目にします。これについて、どのような理解をすれば良いのかも解説します。ちなみに、「坪」=3.3㎡を意味します

基本的には建物の本体価格を表します。例えば延べ床面積40坪(約120㎡)で坪単価40万円の商品でしたら、建物だけで約1,600万円になる計算です。消費税込みではないケースがありますので注意しましょう。

上記で紹介したようにさまざまな費用がかかりますから、総額ではこれが2,000万円を超えることも十分にあり得るわけです。このため、あくまで坪単価は漠然とした価格イメージとして捉えるのが賢明です。

余談ですが、ハウスメーカーはかつて「企画(規格)型住宅」の販売で事業拡大を図ってきました。これは建物形状や大きさ、デザイン、仕様・設備をパッケージ化したもので、坪単価はその建築費用を表現するのに便利で、活用されてきた経緯があります。

しかし近年、ハウスメーカーの商品はより設計自由度が高く、仕様・設備の選択幅が広いフルオーダー(構造体など一定の制約はあります)の住まいづくりにシフトしています。このことが、坪単価と建築費用にギャップを生む原因となっています。

ですので、住宅展示場のモデルハウスでは坪単価表示は少なくなり、総額での表示が多くなっています。これは、坪単価が住宅建築費用の実態をよく表すものではない、ということによるものと考えられます。

ハウスメーカーの価格にはボリュームゾーンがある

坪単価はハウスメーカーの価格を正確に表すものではありませんが、それぞれには「ボリュームゾーン」と呼ばれる総額の価格帯が存在します。例えば、大手ハウスメーカーの多くは今、1棟あたりの平均建築費用が3,000万円台となっているという感じです。

<平均建築費用3,000万円台の代表的ハウスメーカー>

住友林業、セキスイハイム、積水ハウス、大成建設ハウジング、大和ハウス工業、パナソニック ホームズ、ヘーベルハウス(旭化成ホームズ)、三井ホーム、ミサワホームなど

住宅展示場に建つモデルハウスの中には本体価格だけで1億円を超えるものもある

こう見ると、平均3,000万円台は有力ハウスメーカーばかりですが、これは各社の決算発表などで明らかにされている(されてきた)ため紹介しているもので、数値を明らかにしていない企業でも平均で3,000万円を超えるハウスメーカーは存在します。

また、これはあくまで2階建ての話。3階建て以上になると、平均建築費用は5,000万円を超える金額となります。また、賃貸・店舗併用タイプなどになると、さらに費用は高額になります。

このようなことを紹介すると、「ハウスメーカーは高額で私たちには無理!」となりそうですが、実は2,000万円~2,500万円台の商品を用意しているハウスメーカーもあります。それは前述した企画型商品、インターネット専用商品が中心です。

企画型商品はハウスメーカーの「オススメ」的な要素が強く、特に郊外など敷地条件が厳しくないエリアにお住まいの方には検討の余地があるように思われます(都市型タイプを用意しているハウスメーカーもあります)。

インターネット専用商品は企画型商品で、専用Webページ上で間取りなどの検討・選択ができるもの。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、いくつかのハウスメーカーが商品性を高めています。

<代表的なインターネット専用商品>

住友林業…「フォレストセレクションBF」
大和ハウス工業…「ライフジェニック」
ミサワホーム…「ミサワ・ウェブダイレクト」

このほか、セカンドブランドとして積水ハウスが「パルタージュ」(積水ハウスノイエが販売)、ミサワホームが「MJ Wood」(ミサワホームMJが販売)を立ち上げているなどの事例もあります。いずれにせよ、上記で紹介したものも2,000万円台がメインで、そこそこの建築費用となります。

適正価格の考え方とは

ところで、住宅の価格の難しいところは、前述した建築費用の中身だけでは推し量れないものが存在するということです。それは「適正価格とは何か」を考える上でも重要になりますので、最後に指摘しておきます。

例えば、住宅事業者は現在、規模に関わらず保証制度やアフターサービスの体制を必ず整えています。これらがあることで、住宅を取得した後、安心して暮らせるわけですが、住宅事業者が全て同じ質の体制となっているかというと、そうではありません。

新築住宅では、長期間の耐用性は当たり前になりつつある。しかし、本当にそれが実現されるか否かはハウスメーカーの体制次第という側面もある

どんなに良い住まいづくりをしている事業者でも、将来的に経営上の問題を抱え、保証やアフターサービスを十分に行えなくなるケースがあります。それは少子高齢化が進む今後、より現実味を増すことでしょう。

ですので、経営状況を良好に保ち、長期にわたり保証やサービスの体制を維持し続けるための費用も、実は住宅価格の中に含まれているわけです。また、アフターサービスを充実するには、それを行う人を確保し、教育をする必要もあります。

それも含めて住宅の価格なのです。こうした費用をあまり評価しない人は「高い」と感じるでしょうし、評価する人は「適正」、もしくは「安い」と感じるかもしれません。というわけで、住宅の適正価格は、人それぞれで感じ方が異なるわけです。

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