2022.06.10
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制震・免震【用語解説】

ポイント

  • 制震=建物の損傷を少なくすることで比較的安価
  • 免震=揺れの伝わりを小さくすることで比較的高額
  • 複数の地震などで衰える耐震性能を補う役割を果たす

解説

住まいに求められることの1つに、家族や財産を安全に保つ「シェルター」としての機能があります。中でも、地震のリスクが大きい我が国では、古くから倒壊しないこと、それを可能にする耐震性が重視されてきました。そして、ここ30年ほどは「より一層の安心を」というニーズに対応するため、「免震」「制震」という機能が付加されるようになっています。

 

このうち、免震は装置を建物本体と基礎の間に設置し、それが地面から伝わる揺れを吸収し、建物の本体の揺れを小さくするというイメージ。強い揺れを軽減し、人や建物内の家具の転倒などを防ぐことができます。

 

装置には支承、積層ゴム、ダンパーなどを備えたものがあります。このうち、支承には大きく「滑り支承」と「転がり支承」の2タイプがあります。前者は建物本体の下に設けられた鋼板が柱の上を滑る、後者は同じく鋼球が転がる仕組みです。

 

積層ゴムは地震の揺れをゴムが吸収、ダンパーは油圧材などが同様の役割を果たします。また、この他、空気で基礎ごと宙に浮かせることで、地震の揺れが建物に伝わらなくする仕組みの装置もあります。

 

免震は地震対策の決定版的な位置づけですが、難点は平均的な大きさの建物で数百万円という導入コスト。また、建物の形状や敷地の状態(軟弱地盤など)によっては、導入ができない、あるいは難しいなどということもあります。

 

制震は、免震のそうした難点を補うべく開発されたものです。複数の地震による揺れから建物の損傷を減らすための仕組みで、構造体の中にその機能を有する装置を取り付けます。装置には、オイルダンパーや高減衰ゴム、特殊な鋼材などを用いたものがあります。

 

装置が取り付けられるのは、壁や筋交い(ブレース、耐震性を高める目的で柱と柱の間に斜めに入れる部材)部分など、設置箇所は一般的な大きさの住宅の場合、2~4ヵ所程度となるのが普通で、建物形状なども問われません。設置コストは1棟あたり数十万円からと割安です。

 

免震との違いは、地震の揺れは建物自体に直接伝わりますから、人や家具などの転倒を防止する効果はより小さいということ。つまり、あくまで建物のダメージを減らす目的の装置であるのです。

 

また、制震装置は最悪、それが壊れることで建物を守るものという考え方で開発されているものがほとんど。その機能には限界があり、壊れたら補修が必要になることを知っておきましょう。

 

ところで、住宅の地震対策には免震・制震の他に、それらのベースとなる「耐震」があります。これは地震が起こっても倒壊しないということを重視した備えです。ただ、経年劣化や複数の地震を経験する中で、性能は徐々に衰えていきます。

 

その点をカバーするのが免震と制震で、これらは保険のようなもの。もし、新築後に大きな地震災害がなければ皆さんにとって無駄になる備えです。しかし、今後発生するリスクは決して小さいとは言えません。

 

家族の暮らしの安心感は確実に高まりまし、良質な住宅を増やすという観点からも、今後の住宅取得では少なくとも制震の導入は検討すべきと思います。大手ハウスメーカーの中にはそれをほぼ標準仕様としている事業者が存在しているくらいですから。

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