2022.06.21
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二世帯(多世帯)住宅の基礎知識と注意すべきポイント

特に都市部において根強いニーズがあるのが「二世帯住宅」です。「多世帯住宅」などとも呼ばれることがありますが、この記事ではその特徴を再確認するとともに、建築する上でのポイントについて紹介します。
 

異なる価値観の世帯が共に暮らす

親世帯と子世帯が一つ屋根の下で、より快適に暮らせるよう配慮された住まいが「二世帯住宅」です。近年は、家族の居住スタイルが変化し、居住者が親・子世帯だけにとどまらないケースも増えてきたことから、「多世帯住宅」などとも呼ばれるようになってきました。
 

さて、二世帯、多世帯が同じ屋根の下で暮らすという居住スタイルは、かつても当たり前に存在しました。親・子世帯、家族が共に暮らすことで、居住費や家事、子育てなどの負担を軽減できたからです。
 

二世帯住宅だけでなく三世帯による居住の提案も行われている
二世帯住宅だけでなく三世帯による居住の提案も行われている


例えば「ザザエさん」のお宅(磯野家の住宅)が分かりやすい事例と言えます。このケースでは、一家が仲良く暮らしていますが、実際にはそうでないケースも多いもので、「嫁姑問題」がその一例と言えます。

家族とはいえ、みんなが同じ価値観を持っているわけではありませんから、暮らしの中でストレスを抱えるのは当然。ですので、現代的な暮らしに適した二世帯、多世帯居住のかたちが求められました。
 

その存在が広く知られるようになったのは1975年以降。ヘーベルハウス(旭化成ホームズ)がその年に「二世帯住宅」を商品化したのが始まりで、この言葉は今では世間一般で使われるようになりました。

当時は高度経済成長期。特に都市部において土地価格などが上昇するなど、単世帯で住宅を取得するのが経済的に難しくなっていました。そこで、親世帯と負担を分け合う二世帯住宅を求める機運が高まっていたのです。
 

二世帯住宅の商品化は、これまで形態として存在していた「二世帯」居住を、「二世帯住宅」という言葉で整理したものとも言え、人々にその居住スタイルの良さを認知させることになったとも言えそうです。

なお、現在に至るまでに「2.5世帯」居住といった様々な提案が行われるようになっています。2.5世帯とは親・子世帯に加えて、子世帯夫婦の兄弟姉妹(独身)の1人が共に居住するということが想定されたものです。
 

大きく3つのタイプに分かれる

現在の二世帯住宅は、居住スタイルが大変バラエティに富んでいるというわけです。ただし、大きく以下の3つのタイプに大別されます。


【完全分離型】
住宅内に親・子世帯が行き来できるスペースがなく、それぞれの世帯に玄関やLDK、水回りなどのスペースがある


【完全同居型】
親・子世帯が玄関やLDK、水回りなどのスペースを共有する


【中間型】
住宅内に親・子世帯が行き来できるスペースがあり、それぞれの世帯に玄関やLDK、水回りなどのスペースにあるか、それらの一部を共有する


冒頭に紹介した「サザエさん」のお宅は【完全同居型】。同居がうまくいっている要因は、仲の良い娘夫婦同居であることが要因の1つでしょう。
 

「サザエさん」のお宅は【完全同居型】の二世帯住宅。写真は福岡市にあるサザエさん通りにあるモニュメント
「サザエさん」のお宅は【完全同居型】の二世帯住宅。写真は福岡市にあるサザエさん通りにあるモニュメント


親・子世帯の関係性が良好かどうか、それぞれが住まいで活動する時間帯、家事や子育ての共有についての考え方などによって、あるべきかたちが変わるのです。言い方を変えるとその見極めを間違うと、快適な二世帯居住が実現しにくくなるわけです。
 

「住まいで活動する時間帯」を例に少し詳しく説明すると、親・子世帯では就寝時間が異なる可能性があります。上階に子世帯が暮らすケースでは、親世帯は音の問題が発生する可能性があります。
 

特有の宿命的課題へ対応を

ところで、二世帯住宅には宿命的な課題があります。それは将来的に、親世帯の居住スペースが空くということ。ですので、空いたスペースをどのように活用するのかについて、建築前にしっかりと検討しておくことが大切です。
 

もっと突き詰めると、当初の親・子世帯同居から、子世帯のみ、さらに子世帯の夫婦のみと、家族構成が変化しますが、二世帯住宅は延べ床面積が大きいのが一般的ですから、夫婦2人暮らしになると空間を持てあましてしまいます。

ですので、空いたスペースを賃貸などとして活用できるよう、前もって計画しておくことが必要なのです。ちなみに、前述の【完全分離型】のほか、【中間型】でもこれに対応できるプランニングが開発されています。


以上のことから間違いなく指摘できるのは、当然ですが二世帯住宅を建築することは、一般住宅に比べてより高度な住まいづくりであるということ。このため住宅事業者とのより綿密な打ち合わせが必要です。
 

一般的な住宅の打ち合わせだと、参加するのは夫婦2人が基本ですが、二世帯住宅では親世帯なども加わり、意見調整が難しく、快適な暮らしを実現するには、これまでの暮らしの中で感じている問題点を明らかにし、うまく設計に反映させる必要があるのです。

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