2022.06.16
お気に入り

住まいの検討ではバーチャルとリアルの使い分けに注意を

現在、様々な分野でVR(ヴァーチャルリアリティ)技術の導入が進んでいます。住宅分野も例外ではなく、住まいづくりの検討に役立てられるよう、住宅事業者ではVRの導入が積極的に進められています。その一方で、住宅展示場のモデルハウスなど「リアル」の位置づけも変わりつつあります。この記事ではVRとリアルの使い分けについて考えていきます。

 

業務効率向上の観点から生まれた住まいのVR

住宅分野のVR技術の導入は、事業者の業務効率を高める取り組みの副産物と言えるものです。元々、この分野はマンパワー頼みの側面が強くミスが発生しやすいという状況があり、その改善のためにデジタル化が推進されてきました。

 

具体的には、設計ソフト(CADなど)と様々な業務ツールの基本システムを一本化。これにより、設計の変更点がすぐに反映されるようになり、設計のミス、さらには施工上の不具合などを減らすことができるようになったのです。

 

もちろん、設計ソフトは営業ツールとも連携していますし、VRをはじめとする画像処理能力も高まりましたから、近年は外観や室内の様子などを大変リアルに画像で表現できるようになってきました。

 

VRのイメージ。これは数年前に撮影したもので、今ではさらに高度化し内容も充実している

そのリアルさは住宅の中を歩き回って確認できるようなイメージ。位置情報と連携しているソフトなら、周辺の建物を反映し、季節・時間の経過による日照が部屋ごとにどのように影響を与えるのか、つまり明るさの違いなども表現できるようになっています。

 

これらは3次元の画像として表現されるわけですが、皆さんが自宅などでパソコンや携帯端末で自ら確認できるようになっています。ですので、わざわざ住宅展示場のモデルハウスに足を運ばなくても、新居についてイメージを固められるようになってきたわけです。

 

また、例えば室内のクロスや床材、設備などについて様々な色合いを検討してみたいといったことにも対応できるケースがありますから、比較検討が非常にスムーズにできるようになりました。

 

特に、コロナ禍となって住宅展示場・モデルハウスに気軽に出向くことができない状態になりましたから、このような商品・サービスが一気に広がりました。この「InTOWN」はその代表的なサービスの1つです。

 

また、住宅事業者の中には「インターネット専用商品」を用意。これは仕様などがあらかじめ決められた企画型ですが、オプションの追加などによっても変わるイニシャルコスト(建物本体)までもすぐに分かるようになっています。

 

住まいの満足度に強く影響する「質感」

インターネット専用商品はさておき、これまでに紹介したVRを活用したサービスは大手のハウスメーカーだけでなく、地域の工務店やビルダーも活用するようになっていることを付記しておきます。

 

ところで、VR画像によるサービスはとてもリアル、便利になったわけですが、これだけを信用するのはやはり禁物です。というのも、細部を表す「質感」は本物には決して及ばないからです。

 

同じ和室の壁でも質感はそれぞれで異なる

例えば床材。樹種によって肌触りやぬくもりの感じ方が異なります。滑りやすい素材、冷たく感じる素材があるわけで、このあたりを軽視していると、住み始めてから後悔することにもなりかねません。

 

室内の明るさも実際の光とVRで表現されるそれとでは異なります。遮音性や断熱性をはじめとする「空気感」についても同様です。また、設備や間取りの「使い勝手の良さ」も同様です。

 

住まいの満足度は、実はそうした部分が大変影響するものなのです。VRでイメージを持つことが悪いと言いたいわけではありません。これまでの間取り図や2次元画像に比べてはるかに優れた技術だと思われますが、より慎重を期すことが大切で、モデルハウスやショールームにも必ず足を運ぶべきです。

 

VRで大まかなイメージを得て、リアルな場所であるモデルハウスなどではイメージをさらに具体化するという、使い分けをしっかりと行うという意識が、今とても大切になっているように思われます。

 

冒頭にご紹介したように、住宅事業者が皆さんに提供するVR関連のサービスは元々、彼らの業務を効率化することから生じた副産物。ですので、彼らにとって都合が良いように作り出されているものとも言えますので、必要以上に信頼するのは良くないと考えます。

この記事をシェアする
住宅取得支援策の方向性と2022年度の支援制度について
住宅事業者の空き家問題対策と「資産価値」対策について

この記事と同じカテゴリの記事・用語解説